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Myelin basic protein (MBP)の
MAPキナーゼによる in vitro kinase assayです
リン酸基供与体として,ATPあるいは,ATP-γSを用いています。
ATP-γSは,ATPアナログとして,キナーゼアッセイに用いられます。
基質は,チオリン酸化体となります。
チオリン酸基を検出する優れた方法(WB)があり,非RIの観点からも汎用されます。
しかし,ATP-γSはATPの代替として,本当に同等であるかは検討されていませんでした。
MAPK kinase assayにおいて,MAPKによる両者の利用効率を比較しました。
Mn2+–, Zn2+– どちらのPhos-tag SDS-PAGEでも,
リン酸基と同様に,チオリン酸基も分離・検出可能です。
しかし,それぞれとの親和性に違いがあり,シフトアップの度合いは異なります。
(矢印で示したように,位置が違います)
ATP-γSを用いた場合,ATPを用いた場合よりも,
シフトアップするバンドの濃度が薄く,リン酸化の効率が悪いと言えます。
用いた基質がどれだけリン酸化,あるいはチオリン酸化したかを
定量してその割合をグラフにすると次のようになります。
なお,▷で示した上方のバンドは,非特異的なリン酸化産物です。
リコンビナントキナーゼを用いたkinase assay では,よく見られます。
宿主由来のキナーゼが混じっているのではないか?と推察されます。
反応時間が長くなるにつれて,ほとんどの基質が,▷に収束してしまいます。
Phos-tag を使わない(RIなど)キナーゼアッセイでは
偽陽性と気づかないまま,酵素活性として理解される恐れがあります。
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